2016年9月16日金曜日

熊本地震、その後。地震保険について。

 熊本地震から、早5ヶ月。あの恐怖も忘れてきた今日ですが、ちょっと地震関係でモヤモヤしたことがあったので、ここで書こうと思います。

 新居完成から半年で、地震にあった我が家。壁に亀裂も入りましたし、家具も倒れたりと多少の被害がありました。地震保険にも加入していたので、保険会社の人に来てもらったのですが、その対応があまりにも残念だったのでそれについて。
 予想はしていたのですが、地震保険の方って「お金を出来るだけ払わずに済むように」というスタンスでいらっしゃるんですよね。なので、登場から喧嘩腰というか、敵対心丸出しというか。3人でいらしゃったのですが、1人は保険会社の方、1人は記録係、1人は調査員の方でした。この、調査員の方がなかなかのもので、最初から「見るからに被害が無さそうですね!」という感じで、地震の被害を見る気は甚だ無く。「外は暑いので、中へどうぞ」という私の勧めにも「玄関が狭すぎて、入れないでしょう!」という何とも失礼なお返事を頂きました。じゃあ、リビングに入ればいいだろ、、、と思ったのですが、「外壁から見るので同行して下さい。」というので、同行。「どこが気になりますか?」という質問だったので「外壁のパネルの間に隙間ができた。前は隙間なんて見えなかったけど、今は黒く影が出来て隙間がはっきり見える」と答えたのですが「これは『ダメージ』では無いですね!隙間です!」とのお返事が。「長く住んでいると、パネルの間に隙間は出来るんですよ!でも大丈夫!『ダメージ』ではないので雨が入ってきたりはしませんよ!」とのこと。でも、私たち住んで半年なんですけど。半年で隙間が出来たのは地震のせいでしょう?あなた達地震保険の人なんだからどうにかしなさいよ。という気持ちは飲み込んで「でも、地震後に出た変化なので。地震前の綺麗な状態ではありません」という私の反論にも、「『ダメージ』ではないので」を連発。更には、「なぜダメージじゃないか」を図に書いて炎天下で説明しだしました。

 更に地震後に変化した部分を私は言われるがままに見せていたのですが、彼らが繰り返すのは「『ダメージ」ではない」ということ。補足ですが、最初は『損害』と言っていた彼らも、主人に私が英語で「『ダメージ』じゃないって」と言ったのを聞いてからは、『ダメージ』を連発するように。
 私が見せた『地震後の変化』は、

1、基礎部分にヒビらしきものが入っている。
2、家本体と玄関前の階段の間に隙間ができた。
3、窓のサッシが歪んで、網戸が開かない。
という物だったのですが、それに対しては
1、基礎の上から綺麗に見せるために塗ってある、コンクリートにヒビが入っただけ。基礎自体には問題ない。
2、パネルと同じく、隙間ができただけ。階段自体には問題はない。
3、え?窓は開くじゃないですか、歪んでないですよ!え?網戸?あぁ、確かに開かないな。これはね、家は木だから地震で揺れた後に通常の形に戻るけど、サッシはアルミだから戻らないんですよ!まぁ、歪みは『ダメージ』ではないですね!工務店に言って、網戸を調整して貰えばすぐ治りますよ!
という感じ。ここまで読まれてわかると思うのですが、彼らの指す『ダメージ』は『住めないほど問題のある何か』であって、その他の多少の歪みや亀裂は『ダメージではない』と言われてしまうのです。確かに、日常生活には影響がなくても、建てて半年の家が、見るからに以前と違うのは私たちにとっては大問題。基礎の部分も、ヒビが入っているのはコンクリートで塗って修復したいし、玄関の隙間も埋めたい。サッシだって、網戸が開くように修理したい。パネルの隙間も、目立たないように出来るのであれば何かしたい。ですが、それを『ダメージでは無い!」の一言でスルーしてしまう保険会社の人たち。サッシは「歪んでいる」と認めているにも関わらず、『ダメージ』では無いと言い切られてしまい、もう何と言っていいか分からなくなってきてしまいました。 
 ここで問題なのが、地震保険は火災保険とは違って、修理の費用に対してお金が出るのでは無く、損傷の度合いによって、決まったお金が出るということ。これが火災保険だったら、全てを修理してその金額を請求できるのですが、地震保険は、被害が家の価値の3%以上(保険によって異なりますが)であると、調査の人に認めてもらわないと1円も出ないのです。
 ここまで見てもらって、家の中に移ったのですが、私が悲しかったのは、調査の方が全くきちんと見る気が無いということ。我が家は、白の壁が多いのですが、朝の自然光の下では、傷の影が全く見えません。夜などは上からの照明に照らされて、黒い筋がくっきりと見えるのですが、調査に来たのは向こうの都合で朝。真横から差し込む自然光が傷の隙間にまで入り込み、パッと見では傷が見えにくい状況。しかも、そんな炎天下の外から家の中に入って来ので、目も慣れていなかったのでしょうが、1目見るなり「見え無いね!僕には『ダメージ』は全く見え無いよ!『ダメージ』なし!」と断言。これには私も驚いて、「いやいやくっきり入ってますから、きちんと見てください!ほら、ここ!見えるでしょう?!」と必死で説明したのですが、まさかの「見え無い!」宣言。それって、視力の問題なのでは?と思いましたが、その調査員の方に「見えるか」「見え無いか」が大切なようだったので、家全体の雨戸を締め切り、真っ暗な状況に照明をつけると「ああ、本当だ見えました。」とのことでした。6箇所くらいある壁の亀裂を見せたのですが、まぁこれも予想通り『ダメージ』では無いそうです。

 ちなみに、ここまでで1時間弱ほど時間がかかりました。理由は、説明が長いんですね。例えば、壁の亀裂が『ダメージ』じゃない理由とかを長々と説明するのですが、理由としては「パネル同士の継ぎ目が揺れによって擦れただけだ。パネルに傷はあっても柱には損害はないので『ダメージ』ではない」とか。木製住宅の場合は、柱、基礎、屋根に問題があるかが大前提なので、そこへのダメージが認められない限りは、ダメージとして認められないということ。
 そして、驚きの展開だったのですが、ここにきて初めて、彼らが資料を取り出してきたのです。その資料は「震度5程度の揺れでは、統計的に、耐震住宅自体に損傷は付かない」という、データが記載されたものでした。そう、彼らは「ほら、資料が言ってるだろ。震度5じゃ『ダメージ』は出ないんだよ。だから地震保険のお金をお前たちに払う義務は俺たちにはないんだよ」ということ。合わせて、私たちの町の今回の予想震度の資料も持って来られたのですが、「この地域は震源の益城に比べると、対して揺れていない」とおっしゃって、思わず「いやいや、全壊した家もあるし、窓から他の家を見てください。こんなに被害が出ているのに」と言うと「ですが資料での、この地域の揺れは、、、、」と言われるので「どんなに広い町かご存知ですか?場所によって、全く被害の度合いは違います。観測所の震度が町全体の震度では無いんですよ」と消防団にも入っている主人が堪らずに反論していましたが「これは単なる基準なので、資料に基づいて話します」ということでした。
 更には、家財の地震保険についても資料を出してきて、「この程度の揺れで予想される家財の損傷は、この程度しかないんですよ。だから、一部損害にも認定できません」ということ。私たちの家は、フレームと本棚、植木鉢が1番の被害だったのですが、記録しておいた写真も見ずに、「その程度の『ダメージ』は、家財全体の価値の一部認定の割合には届かないので」と値段も聞かずに切り捨てられてしまいました。物が落ちてきたときに傷ついた、床に対しては「仮に、床と壁を『ダメージ』だと認めたとしても、3%には満たないので」ときっぱり断言。
 ここで、私がモヤモヤしてしまったのは、傷の大きさや、程度などをきちんと計ったり計算したりもせずに、言い切られてしまたところ。
 地震後に建築会社の方が調べに来たときは、「歪みがみられますね、床もわずかに傾いています」と、器具を使って見せてくれたのですが、その話を地震保険の方にすると「全く傾いてませんよ。建築会社は修理させたくて、そういうことを言うんですよ。」というお返事でした。その後、平行器を色んな所に当てて「はら、傾いてない!ほら!ほら平行でしょ!!」と次々とおっしゃっていたのですが、主人と私の共通の感想は「いや、全く平行器見えないです、、、」という感じ。2箇所ほどきちんと見せてもらったところは平行だったので、「じゃあ、建築会社の機械は、なぜ傾いてると示していたんだろう」と呟くと、「そんなのね、建築会社なんかは、千分の一とかまで測れる機械を持って来るんですよ。そんな精密に普通は測れませんよ。それに、どこの家だって、千分の一くらい傾いてますよ!」という、何とも言えないお返事が。私たちの家の引き渡しの時、同じ機械で平行性を見せてくれましたが、きっちり平行でした!と私が言うと「でも、千分の一傾いてたとしても、保険はおりませんから」というお返事。
 全体を通して、調査の方のヤル気の無さと、同情心のかけらも無い振る舞いに、私たち夫婦はイライラし、とても悲しい気持ちになりました。そりゃ「住めるか、住めないか?」とか「住めないほどの損傷が出たか?」と言われると、その答えは「NO」です。ですが、夢のマイホームを建てたばかりに、地震により、壁や外壁に損傷。スムーズに開け閉め出来ていた網戸は歪み、毎晩目にするベッドルームの吹き抜けの大きな壁には、真っ直ぐに亀裂が入っています。外壁のパネルの隙間だって、カッコ悪い。それを他人に「全く問題ない!」と言い切られるのって、何か違うと思う。彼らは、もっと被害の大きな家や、住めないほどの損傷を見てきたので、そんな対応をされたのかもしれないけど、あまりにも心の無い対応に私たちは、ただただウンザリしてしまいました。そして、例の資料が出てきた後は「保険金が出無いのはもう分かったから、早く帰ってくれ。私たちにも仕事はあるのよ、、、」というオーラを出していたのですが、彼らも「きちんと納得してもらった」と思えないと帰れないらしく、説明は続きました。調査の方とは反対に、保険会社の方は、クーラーが効いた部屋の中でも大汗をかきながら、口の周りに白い、あれは泡?人が必死に話すと口の周りが白くなるでしょう?あれを付けながら、必死に「じゃあ、被害はないということでいいですね!?」というのを繰り返されていたのが印象的でした。何をそんなに焦っているのか?という感じ。椅子を勧めると、物凄く慌てて拒否。あれも何か規則か何かあるのでしょうか?それだけでも胡散臭さは満載で、つい「でも、他の家では損害が認められたって聞きましたよ」とか突っ込むと、また必死の説明が返ってきたりで。私は、彼の汗が床に落ちたのを、少なくとも3滴は見ました。
 最後に「では、家の傾きも無いと言うことでいいですね?」と言われた時、主人が肩をすくめただけだったのが気になっていたのですが、彼らが帰った後に我が家の安い平行器が示したのは、
こちらの結果です。

彼らにとっては「全く傾いてない」と言い切れる傾きも、当事者にとってはそうでは無い。
外壁のパネルも「雨が入ってこないんだから、『ダメージ』ではないんですよ」といくら説明されても、私たちからしたら、『ダメージ』以外の何物でもありません。私たちにとっての『ダメージ』は、「地震によって出た、私たちへのマイナスの変化」なのです。
それを、データによって理詰めで攻めてきた保険会社の人たち。
私と主人の、貴重な1時間を奪い、精神的にも『ダメージ』を与えていった彼ら。
ただのモヤモヤ体験で、教訓もオチも無くて申し訳ないのですが、書きたかったので書いてしまいました。この投稿を読んで「そんなことも知らなかったのか」と思われる方もいるかもしれませんが、共感してくれる人や、今から地震保険を利用する方などがいたら、少しでも役に立てば、、、と思って書きました。

にしても、「玄関狭いから、、、」は、何が何でも失礼ですよ、全く!

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